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鶏の熱中症1

日本の今年の夏は相当過酷なものになるらしい。
スーパー猛暑と呼ばれるくらいの厳しい暑さに見舞われそうだと、コッコ仲間から聞いた。

ブラジルは冬真っ只中だけど、今日は熱中症について書いてみたいと思う。

ブラジルは一年を通して夏が長い。
私が住んでいる地域は日本でいう盆地のような場所で、夏は暑く冬は寒い。
日中は40℃前後になることもあるし、最低気温が30℃までしか下がらないってこともある。

そんな土地に長年代々住んでいるブラジルの鶏たちは、日本の子に比べると暑さには強いと思う。(逆に寒さは苦手)
それでも、過去に熱中症で数羽の子が亡くなった。

熱中症は年齢性別に関わり無く起こる恐ろしい病気?だ。
症状が重くなると死んでしまうし、助かったとしても後遺症が残ることがある。

下記は養鶏場に於ける鶏の熱中症について、いつもお世話になっている獣医さんが農業誌にお書きになったものと、個人的にアドバイスを受けたものをまとめたものです。
個人的に少数飼育されている方にも、参考になると思います。


≪農場や飼育場の現場で熱射病(熱中症)と診断するための指標としては、つぎのような点が挙げられます。≫
 ① 発生当日、気温(室温)上昇前の最低気温(室温)と最高気温(室温)との差が10℃前後を超え、気温は30℃前後を超える水準、かつ、湿度が60%以上の高湿度であること。
天気はあまり関係なく、気流が少ないのは発生助長要因となる。
 ② 鶏冠など頭部皮膚が充血して鮮紅色を呈し、激しい開口速迫呼吸が持続し、次第に動作緩慢、沈鬱、伏臥傾向となり、やがて死に至る。
体格の良いオスで重症になる傾向が強い。
これらの症状がみられても、気温が下がると生残個体の大半は急速に回復する。

 鶏の熱射病は、真夏日などにおいて、鶏舎内温度が制御不能になって上昇する場合に、激しい開口速迫呼吸(パンティング)、鶏冠や肉髯をはじめ頭部皮膚の充血による紅潮、両翼の軽い拳上と羽毛逆立など、鶏の典型的な暑熱反応を認め、しばしば死亡の急増を伴います。
急に気温が30℃を超える真夏日で湿度が60%を超える場合に発生しやすいようです。

夕方から夜間にかけても、温度が下がる際に湿度が急激に上がってくると、体感温度は蒸し暑さが増します。
不感蒸泄(体表からの熱放出)の効率が著しく下がるので、それを補うように開口呼吸や翼の拳上が見られます。
湿度は60%を超えるとかなり熱の放散効率が下がるようで、熱射病も60%以上の湿度の時に多発します。

そして、体内にも著しい変化が見られます。(写真が添付されていましたが割愛しました)
死亡体の腹腔内温度は異常に高いものが多い。
胸部筋肉の煮肉状変性・壊死。
肺の著しい充血と肺水腫。著しい充血と血管周囲および気道内の水腫液貯留。
肝臓表面に形成された線条斑と線条溝や腸の漿膜充血、浮腫、平滑筋の褪色。

高温曝露が想定される日の前日から、飼料摂取を制限することは、経験的に最も有効な熱射病対策の一つです。
その機序は、おそらく消化や腸内細菌の代謝による熱産生を、抑制することができるからではないかと推測されます。
重要な点として、消化管内に摂取した飼料が滞留している間、消化が進行し熱産生が持続するので、暑熱曝露の時点でできるだけ消化管から内容物が排出されている必要があります。
十分な飲水をさせ、消化管内容物をできるだけ排出させておくというのが最大限に効果を得るポイントです。

次回は我が家で経験した熱中症と対策を書いてみたいと思います。
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